土地神みたいなもの

今週のお題「夏に聞きたい、怖い話」
天候晴れ

今週のお題 
「アレ」を見たのは小学生の頃だったと思う。
 確か夏の夜に、地元のお祭りの準備でみんな集まって踊りの練習をしていた。
 それが終わって、みんなと分かれた帰り道に輪郭は夜でぼやけていたが、長髪の女性?みたいのが田んぼのど真ん中で立っているのを見てしまった。
 その田んぼの大きさは家が3,4軒隣接しても十分なスペースを確保できる大きさであり、夜中にそんなとこにいる女性を俺は「なんか落としたのだろうか」と思って帰った。
 次の日もやはり同じ場所におり、またその次の日も・・・とまあ、毎回そんな感じで見たので、その頃には
「そういうものだ」という認識であった。
 別に害があるというわけでもなく、ただそこに存在しているっという感じ。昼間より夜の方がはっきりと「いる」というのは分かる。程度である。
 そんなわけで帰り道にたまに見かけては「いるなあ」という、俺の中では近所のマスコットみたいなものであった。
 
 事が起きたのは俺が高校の頃になる。
 ある年その田んぼをやっていたじい様が歳で亡くなり、相続人の息子だか娘が
農業をやらんので田んぼをコンクリートで埋めるというのを決定した。
 田んぼがコンクリートになってから「アレ」は輪郭がさらにぼやけた感じになり、時々変なことが起きた。
 具体的には生活用水用に通した水路が破裂、赤茶色の土がコンクリートにぶちまけられる、変な亀裂が入る。といった感じである。
 最終的に神社の人がお祓いなのか祈祷をしにやってきてからは、そういう変なことは起きなくなり、「アレ」自体完全にいなくなってしまったらしく、ぱったりと見えなくなってしまった。
 
 未だに「アレ」がなんだったのかは分からない。まあいくらなんでもできすぎていて幻覚でも見てたんじゃないかなと内心では思ってる部分もあるのだが、「触らぬ神に祟りなし」というのを見た忘れられない思い出である。

 今日はこの辺で